コロナ禍で想うこと

先週ほどの暖かさではありませんが、まずまずのお天気でした。コロナの感染者数は減少傾向にはありますが、中々、収束まではほど遠い感じです。とはいえ、まん防も解除され、3連休の観光地は多くの人出があったとニュースでも報じられていました。経済回復へ向けた動きも見られるようになりました。

私たち陶芸の世界はコロナに入り、以前にも増して厳しい状況が続いています。顧客層の高齢化、陶芸に興味を持つ人口の減少など、この10年で特に厳しさを増してきました。そこにコロナが追い打ちを掛けて襲ってきました。お茶会も中々できず、茶道具は特に買い控えの傾向があります。ふるさと納税や在宅での巣ごもり需要で食料品などは大変な活況であるとニュースや新聞などで取り上げられています。やはり食べることは楽しみですから強いです。

それに比べると焼物は日常使いの器もありますが、嗜好品で割れたらもったいないという考えになるのでしょうか、100均など安物でいいという価値観になるんでしょうか、需要が減り続けています。私どもギャラリーへの団体のお客様も当然コロナでキャンセルが続き、全くありません。百貨店での個展やギャラリーの集客も以前のようにはいきません。色々知恵を絞って、SNSやオンラインショップなど取り組んでいますが、中々思うようにはいきません。我々は存在する価値があるのかと自問してしまいます。

 

伝統工芸品は次世代につなげていかなければいけないとよく言われ、私も大好きだったマスコミの仕事を辞して懸命に取り組み、お陰様でそれなりの実績も上げてきました。しかし、昨今の状況には夢も希望も持てないくらいの失望感しかありません。ネットでものを買う時代、テレビは見ず、YouTubeばかりみる時代と言われますが、なんだか難しい時代です。伝統工芸品に興味を持つ人が減ってきているのはさびしいというか、人間としての感性や美意識、心のゆとりが失われているのではとさびしい気持ちになります。

 

土作りから始まり、釉薬作り、制作と湯呑1つ作るにも手間と時間がかかっています。炎を扱いますからどんなに熟練した作り手でも100個作って100個うまく作品として取れる訳ではありません。そうした苦労の中からできあがった作品は、手に取った時、土の温もりや質感、感触、色合いなど使う楽しみがあります。病気で入院生活を送った方が家に帰ってふとした時、当たり前の日常が戻ってきた時に器に触れて、心が落ち着き引き込まれていったというお客様の声も個展で伺ったことがあります。

 

応援してくださるお客様の声を伺うと、自分たちの作っているものが人を感動させたり、楽しませたり、目や心を癒やしたり・・・いろんな意味で役に立っているのかなと少しの自信をいただくことができます。コロナ禍以降、特に来客の落ち込みを目の当たりにして、そのうちに回復するよというような楽観的な気持ちにはなれません。とにかく前を向いて頑張るしかありませんが、不安しかありません。

ギャラリーはゆったりと気楽に作品を鑑賞できますし、値頃感の作品もたくさんあります。大幅割引のセールもしてます。記念品や贈り物、ご自宅用、様々なケースでお使いいただける作品をご予算に合わせてご用意できますので、お気軽にお立ち寄り、ご相談ください。