窯変花入
虫明伝統の天然松灰を基調とした灰釉を掛けています。若草色と枇杷色(びわいろ)が入り交じった窯変(ようへん)と呼ばれる色合いになっています。窯変は950度から窯の中に松木の煙を充満させて、煙のムラができると釉薬に煙がたくさんあたったところが化学変化を起こして若草色に、当たっていないところが枇杷色に発色するものです。煙の作用により自然に色づいた神秘的な変化は実に面白く、正面には青白い乳濁釉が掛かり、灰釉が流れて釉溜まりが美しいです。器全体に大小の貫入(かんにゅう)と呼ばれる釉薬表面のヒビが入り、重厚感があります。釉薬のかかっていない土見せの土味も釉との対比で目を引きます。中々とれない「窯変物」です。
桐箱付/13.7×19(㎝)