灰釉狂言袴文水指

虫明を代表する水指です。全体が深みのある若草色で、上部は四方に変形させ、底に従って円形となっています。また、狂言袴の紋が四方に施されています。蓋は持ち手が長方形に切り取られた2つのパーツで出来ていて、大きな特徴です。四方の形は、成形していく時に蓋がうまく合うように四隅の角を均等に形作る必要があり、変形させる時にも乾燥具合や力の入れ加減を均一にする必要があります。そうしないと、素焼や本焼で歪みが生じて作品にならないため、細やかな手作業と高度な技術、経験、さらには日数が必要とされます。そうした中で生まれた作品が本作です。

桐箱付/14.3×14.3×16.9(㎝)