新しい釉薬の研究と作品化

8月も残りわずか。夏ももう終わりですね。この時期は公募展の鑑査や審査の結果が出揃う時期でもあり、いい結果が出るとその年の残りの日々が意気揚々と過ごせるんですが、結果が伴わないと反省もしますが、色々と考えてしまいます。今年は後者です。来年は絶対にいい結果を出したいと心に秘めて前を向いてはいますが、個展の準備や作品販売のデスクワークに追われ、作品作りは少し先になりそうで、モヤモヤした日々が続きそうです。

まあ、公募展はあくまでその時出品した作品に対する評価で、鑑査や審査をする人も毎年変わるし、その人の好みや感性で人の評価は変わりますから、納得のいく結果ばかりではないと思っています。人間のすることですからね。

個展での手応えや日々の仕事も含めて、トータルで自分自身が客観視して、いい仕事をしていけばいいと考えてます。ただ、挑戦するからには結果が出ないととても悔しいものです。もっといい作品を作るべく頑張っていきたいです。

 

さて、前回のブログで予告していた私の作品制作の柱の一つ、ブルーの釉薬、灰釉彩貫入釉のお話です。この釉薬は私が岡山でのデビュー展の時から発表し続けています。最初の頃より当然進化を遂げてきています。

02%e7%81%b0%e9%8a%85%e9%87%89%e7%b4%85%e5%bd%a9%e8%b2%ab%e5%85%a5%e9%89%a2 dscn1162

 

雑木灰を主原料とした釉薬で私がこの仕事を始めて1年くらいしてから研究し始めた釉薬です。雑木灰に含まれる鉄分等がブルーの色合いになっていきます。虫明の透明釉とはまた違う工房から見える瀬戸内海をイメージした鮮やかな色合いを出したいとの想いからこの釉薬を作りました。よくガラスを熔かしたんですかと聞かれますが、私の独自調合による灰釉です。

最初はもう少し青白い乳濁調に近いものでした。最初のデビュー展で思いがけず好評で、少し自信をもらって突き進んでいきました。

この釉薬は融点がやや低く、流れやすいのが特徴で、器の内側は口縁から熔けて流れて中心に溜まってブルーが深みを増し、厚い層を作ります。そして、細かい貫入(かんにゅう)と呼ばれる釉薬表面のヒビが幾重にも複層して縦や横、斜めに入り、光が乱反射して輝きを放ちます。この乱反射と特殊な釉薬の熔け方により、内部で細かく泡立って宝石のような輝きが出ています。ただ青いだけなく、この輝きをいれたいと思って研究してやっと出来るようになってきました。写真では輝きがわかりづらいかもしれませんが。

 

dscn1167 2017-0827

img_0174

dscn1568

画像の通り、釉薬の下の素地土の鉄分の含有量や配合によって、同じ釉薬でも色合いが違ったり、同じ系統でも少しづつ調合を変えて、違う釉調にしたりと引き出しを広げています。

ただ、内側は釉薬が流れてもいいのですが、外側は流れすぎると板にくっついて品物になりません。最初の頃は10個焼いて1個位しか品物になりませんでした。それは流れてしまうことが大多数ですが、釉薬が煮えすぎて大きなピンホールが出来てしまったり、釉薬が熔けて冷める段階で急激に冷めて冷め割れが起きて、真っ二つに器が割れたり・・・失敗を上げたらキリがありません。それゆえ、色々とデータを取って、外側は上半分手前までしか釉薬を掛けません。それでも失敗はします。今ではと3割程度取れるようになってきました。難しい釉薬です。

 

dscn1402

釉薬が流下して板にくっついてしまった茶盌(上)

2017-0828

img_0173

うまく釉だれができて止まった作品(上2つ)

でも、年代を問わずとても人気で個展ではいつも追加追加となるほどの作品になってきました。最初は鉢や皿だけでしたが、最近は盃や平茶碗、菓子鉢、花入にも取り入れています。

この数年は、このブルーで淡いもの、深みのあるもの、乳濁調のもの、さらにはコバルト調のもの、透明のタイプとバリエーションを広げています。やはり製品化はまだまだ低いですが、コツがわかってきました。

img_0121

今年になって作りだした透明バージョン(上)

中心部の周りが乳濁調のものとそうでないバージョンの2種類

一つの釉薬を完成させるのはとても難しいし、釉薬を調合して掛けるのも、この薬の場合は厄介な工程がありますが、いいものが出来るとすごく楽しいです。これから個展で少しづつ発表していきたいと思います。自分の看板の一つと言える釉薬です。